片頭痛と失語

片頭痛の言語障害とは?

片頭痛の言語障害は、書き言葉と話し言葉の両方において言語処理能力が損なわれるものです。言葉が不明瞭になり、理解できない場合もあります。稀な症状ではありますが、片頭痛の言語障害は片頭痛患者さんの25%~30%が罹患する症状であり、非常に衰弱させられるものです。そのような言語障害が、前兆を伴う片頭痛と関連していることをご存知ですか?

 

片頭痛の前兆の1つ:失語性言語障害

片頭痛の前兆の中には、言語処理能力に一時的に影響を与えるものがありますが、前兆を伴う片頭痛の前兆の中で、最も一般的に知られている前兆は、通常5~60分間続く視覚障害です。点滅する光、黒い斑点、油が流出するような模様が視界に現れたり、閃輝暗点になったりすることがあります。また、腕、脚、顔がチクチクしたりしびれたりする場合もあります。片頭痛の言語障害は、読む、書く、話すに影響があるだけでなく、言語を理解する能力を妨げるため、非常に気持ちを塞ぐものです。海外の事例を挙げると、CBS2ニュースのレポーターのセリーン・ブランソン氏は、2011年にグラミー賞をライブニュースで取材していた時に片頭痛の言語障害になってしまいました。ブランソン氏は、突然話すのが難しくなったことに対し、「恐怖を感じ、頭が混乱し、何が起きているのか理解できませんでした。」と言っています。突然そのような状況に陥り、とても大変だったことと思います。

 

発生について

前兆を伴う構音障害を引き起こす片頭痛は、一般に脳幹の前兆を伴う片頭痛として識別され、以前は脳底型片頭痛として知られていました。Migraine Againの専門家によると、このタイプの片頭痛は脳の基部にある脳幹から発生しており、他の症状を引き起こす可能性もあると考えられています。

 

前兆はどのくらい続くのか?

ゴールドバーグ片頭痛プログラムの責任者であり、ロサンゼルスのUCLAデイビッド・ゲフィン医学部の神経学の教授でもあるアンドリュー・チャールズ先生は「前兆の症状は通常、数分から最大1時間程度続きますが、その後は完全に治まります。時には1時間以上続いたり、稀に数日続いたりすることもあります。片頭痛の前兆には、視覚障害、感覚障害、言語障害、運動障害といったようなものがあります。」と仰っています。

 

言語障害はどのような状態?

片頭痛の言語障害は、実は人によって様々ですが、いくつかの主な症状を紹介します。

・自分の考えを明確に伝えるために適切な言葉を選ぶことが難しくなる

・ある単語を別の単語の代わりに使用する

・言葉として成り立たない、理解不能な音で話す

・他人の言葉を理解するのが難しくなる

・意味のある文章を書くのが難しくなる

 

一過性の言語障害と片頭痛と脳卒中

言語障害は、3つの片頭痛のサブタイプ (1前兆を伴う片頭痛、2片麻痺性片頭痛、3脳幹前兆を伴う片頭痛)のいずれかの症状である可能性があります。緊急且つ重要な症状です。万が一、思い当たる節がある場合、より適切な診断のため医師にご相談なさることをお勧めします。

 

一時的な言語障害は、片頭痛の他に、一過性脳虚血発作(TIA)が原因である場合もあります。一過性脳虚血発作は、脳への血流が一時的に遮断されると発生します。一過性脳虚血発作を患ったことのある患者さんは、脳卒中を起こすリスクも高くなります。

 

片頭痛に関連する言語障害の恐いところは、脳卒中の症状とよく似ていることです。そのため、初めて言語障害が起きた際には、医師の診察及びMRI やCTスキャンなどの検査を受ける必要があります。加えて、頭痛ろぐ等で片頭痛の記録をつけて誘因やパターンを特定することも重要です。

 

準備しておけること

片頭痛の言語障害が繰り返し起きる場合に役立つ可能性がある方法をいくつかご紹介します。

・スマートフォン上で緊急連絡に関するアプリを設定しておきましょう。(注:英語版ではICE(In Case of Emergency)を例に挙げておりますが、申し訳ございませんが日本語対応はしていないようです。)

・ご自身に片頭痛の前兆があること、その症状がどのようなものであるか、そしてすぐに治まるということを説明したカードを持ち歩きましょう。

・GPSの位置情報をご家族や大切な人と共有する設定にしておきましょう。緊急時に応答できない場合でも、ご家族や大切な人に発見してもらえることに役立ちます。

・頭痛ろぐ等の頭痛記録アプリでトラッキングしましょう。ご自身の頭痛のパターンを知ることで、片頭痛の前兆や片頭痛発作後に言語障害が発生するかどうかを評価できます。

 

最後に

適切な言葉を見つけるのが難しくなってしまうことは、とても苛立たしい状況です。そのような片頭痛の前兆が起きた際、通常は目がくらむような痛み、視覚障害、その他多くの衰弱させられる症状を伴うので、とても大変です。唯一の救いは、ほとんどの場合、片頭痛の言語障害それ自体が危険な症状ではないことです。医師の診察を受けた上で、ご家族やご友人、同僚には普段から情報共有をしておき、言語障害が起きてしまった際にどのように対処すれば良いのかを理解してもらっておけば安心なのではないでしょうか。決して独りで抱え込まないで下さい!

 

参考文献

1.Zollinger, Eileen. “Transient Aphasia and Migraine: What You Need to Know” Migraine Strong 14 Oct, 2023, https://www.migrainestrong.com/transient-aphasia-and-migraine-what-you-need-to-know/
2.“Recognizing Aphasia During a Migraine Attack.” North Suffolk Neurology, 30 September 2020, https://www.northsuffolkneurology.com/blog/recognizing-aphasia-during-a-migraine-attack-22559.html
3.“Understanding Migraine With Aura.” American Migraine Foundation 1 March, 2023. https://americanmigrainefoundation.org/resource-library/understanding-migraine-aura/
4.”Migraine Aphasia: Why Your Words Get Jumbled”. Migraine Again 11 June 2022. https://www.migraineagain.com/migraine-babble-words-get-jumbled/

 

Jenny from Migraine Buddy
Love

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