カフェインと頭痛の関係
カフェインは頭痛を和らげるのか?
WHO(世界保健機関)によると、紅茶、ココア、コーラ飲料は、ほぼ同程度のカフェインを含み、コーヒーにはその約2倍のカフェインが含まれているそうです。カフェインは頭痛に効くのでしょうか?研究によると、頭痛発作を経験した多くの人が、カフェイン入りの飲み物を飲むといくらか楽になったと感じていることが明らかになっています。さらに、注意力の向上など、カフェインを摂取することによる利点も報告されています。頭痛は、脳の周りの血管が拡張し、脳への血流が増えることで起きます。適度なカフェインは、血管を収縮させ、脳への血流を減らし、頭痛の痛みを和らげるのです。しかし、頭痛発作が起こった場合、必ずカフェインを摂取すれば良いものなのでしょうか?カフェインは多くの人にとって頭痛の誘因となっているのも事実です。さらに、カフェインを多く含む飲み物であっても、エナジードリンクなど糖分も多く含まれているものは頭痛に効果がない場合もあります。
カフェインは頭痛の誘因になるのか?
カフェインと頭痛の関係は複雑で、因果関係を完全に解き明かすことは困難です。とはいえ、カフェインには頭痛発作を引き起こす「可能性」があります。そもそもカフェインは利尿作用がある物質です。カフェインを過剰に摂取すると体液が失われ、脱水症状になる可能性があり、それが一部の人にとって頭痛発作につながる場合があります[1]。また、カフェインには、せっかく摂取したマグネシウム等の必要なミネラルを対外に出してしまう作用があり、マグネシウム不足から頭痛発作を引き起こす「可能性」もあります。マグネシウムは、急性片頭痛の予防に重要なサプリメントとしても知られています。研究によると、マグネシウムはN-メチル-Dアスパラギン酸(NMDA)受容体をブロックし、皮質拡延性抑制(cortical spreading depression: CSD)の影響を軽減することですることで片頭痛発作を防ぐことが明らかになっています。
また、カフェインの過剰摂取はカフェイン依存症につながります。カフェインを定期的に摂取していたのを急にやめると、カフェイン離脱症状になり、それが頭痛を引き起こす可能性もあります。カフェインは脳の周りの血管を収縮させるため、定期的な摂取をやめると血管が拡張することで脳への血流が大幅に増え、それが片頭痛につながる可能性があるのです。カフェイン摂取量が多いほど、カフェイン離脱症状による頭痛発作がひどくなることが研究によって明らかになっています。
コーヒーは何杯までOK?
コーヒーを完全にやめることは不可能に思えますが、コーヒーの摂取量を減らすことはなんとかできそうな感じがしませんか?頭痛発作がある方はどのくらいの量のコーヒーを飲んでも大丈夫なのでしょうか?アメリカ片頭痛財団は、コーヒーの摂取を週2回未満に制限することを推奨しています[2]。研究によると、頭痛発作がある患者さんのうち週に3回以上コーヒーを摂取する方は、カフェイン依存症の傾向があり、急性の頭痛発作がより頻繁に起こることが明らかになっています。それでは、カフェインレスのコーヒーにすれば良いのでは?という議論もあるかもしれませんが、カフェインを除去する方法によっては別の問題も生じるため、カフェインレスの飲み物にも良し悪しがありそうです。
最後に
カフェインと頭痛には興味深い関係がありますね。一般的には、適度なカフェイン摂取で頭痛を和らげることができる一方、過剰なカフェイン摂取が頭痛の誘因になりうるということになりますね。もちろん個人差もあるので人による場合もあります。頭痛ろぐを活用し、頭痛発作の誘因や対処法を記録していただき、ご自身のパターンを知っていただくことがとても大事です。
参照
[1] Nowaczewska, M., Wicinski, M., & Kaźmierczak, W. (2020). The Ambiguous Role of Caffeine in Migraine Headache: From Trigger to Treatment. Nutrients. 12(8): 2259.
[2] www.americanmigrainefoundation.org